Taiki's Blog

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ヤクルトが国内で苦戦し、海外で好調を維持する理由

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ヤクルト

引用:乳酸菌飲料の「ヤクルト」 海外でも安定したマーケットを持てる理由 - ライブドアニュース

こんにちは、Taikiです。

先日中国・広東省ヤクルトの新工場が完成し、生産増強に乗り出すニュースが流れました。

調べてみると、 ヤクルトの国内業績は横ばいですが、海外では好調です。今回はヤクルトが海外で成功した理由とその戦略に迫ります。

あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。

目次はこちらになります。

国内で苦戦する理由

ヤクルトが苦戦する大きな理由は原材料高です。これはヤクルトだけでなく、食品業界で共通した悩みになっています。

なぜ原材料が高くなったと思いますか。

これは原油価格の高騰が関係しています。食品業界では、商品に使う包装や容器の生成に石油を使用しています。もちろんヤクルトの容器にも石油が使用されています。

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原油の高騰

引用:原油価格高騰に懸念 イラン制裁、適用除外は180日:朝日新聞デジタル

 ではなぜ原油は高騰しているのでしょうか。

これはトランプ政権のイラン産、ベネズエラ原油の禁輸制裁が大きな原因です。米政権の強硬姿勢が強いため、価格高騰への懸念は根強く、原油は高騰を維持してます。これが食品業界の原材料を押し上げています。原油高騰の波は、食品業界だけでなくレストランやカフェなどのサービス業にも影響しています。

ヤクルトが苦戦する理由は他にもあります。それは他社との過当競争にあるのではないでしょうか。健康ブームが続く中、乳酸菌が注目を受け他社からも関係商品は多数販売されています。他社よりも良い商品を出すため、日夜研究や開発にかかる費用も無視できません。

海外で好調を維持する理由

ヤクルトは1960年頃から、海外に進出してまだ未踏の乳酸菌市場を開拓しました。台湾、ブラジル、新興国、中国、欧米などです。

進出するのは簡単ですが、成功するのは別の話です。どうやって海外に進出し成功を収めてたのでしょうか。

教育分野の開拓

1つ目に、教育分野の開拓があると思います。

乳酸菌が認知されていない海外で、いきないヤクルトを販売すると消費者はどういう反応をするでしょうか。おそらくコカ・コーラなど既存の清涼飲料水と同じカテゴリでみられます。当然コカ・コーラと同じ市場で勝つことは容易ではありません。ヤクルトは清涼飲料水市場と区別して乳酸菌商品を認知してもらう方法を取りました。

これはヨーロッパの例ですが、まず現地の研究機関と協力し乳酸菌が健康に良い事を立証しました。そして、乳酸菌の学会を創設し、乳酸菌の良さを啓蒙し、ヤクルトの知名度を上げました。

言い方は良くありませんが、ヤクルトは教育分野を青田買いして乳酸菌市場を形成し、ヤクルトブランドを刷り込み、将来にわたって利益を獲得することに成功しました。

似たようなマーケット戦略は異業界でも見ることができます。マイクロソフトのアカデミックパッケージです。学校法人や学生にマイクロソフト製品を学割販売し、若い世代にその良さを植え付け、将来彼らが大人になってからもリピータになってもらい利益を回収します。この長期的なマーケット戦略は、商品の宣伝効果だけでなくCSRの役割もあります。

ヤクルトレディの活躍

2つ目に、ヤクルトレディの存在です。

新興国を見ると、モールや大型スーパーなど巨大なお店は殆どありません。駄菓子屋のような小さなお店が路地裏などに散らばっているイメージです。無数に分岐した販路を一個ずつ確保することは相当労力のいる作業です。

もしヤクルトレディがいたらその状況をどう打開できるでしょうか。彼らは現地のメンバーで構成されています。土地勘や人脈、そしてフットワークの軽さで毛細血管のように張り巡らされた細い販路を次々と開拓します。つまり先進国のように大規模に広告や宣伝を打ち、大型スーパーへの営業を行うトップダウンではなく、地元の小さなお店から営業をかけて下流から上流を攻めるボトムアップの販売手法で成功を収めました。

同じような例はお菓子のブルボンの戦略にも見ることができます。ブルボンは地方店舗から販売を展開し、最終的には都市部に販路を拡大しました。これは地方の住民が次第に都市部に流れていく人口動態をうまく利用したボトムアップの戦略です。地方の子どもがブルボンのお菓子に慣れ親しみ、年月を経て進学や就職で都市部に移転した後も、昔懐かしのブルボンを買い続けます。結果ブルボンは都市部でも順調に売上を伸ばすことができます。

四季報でみるヤクルトの業績

直近の四季報ヤクルトの業績を見てみましょう。

今季の売上高 は、約418,000百万円(前年比+2.6%)が予想されます。企業規模は食品加工業界ではトップクラスです。直近5年の売上は5%近く堅調に推移していますので、間違いなく成長企業でしょう。収益性もかなり高めです。

事業別の売上はこちらです。注目するポイントは、海外売上は国内よりやや低いですが、営業利益は海外が圧倒的に上です。海外事業でヤクルトは高い収益性を維持できていることが見て取れます。

・飲料・食品: 47(8)

・海外の飲料・食品: 42(25)

・医薬品 6(5)

・他 5(5)

まとめ

原料高は悩みの種ですが、ヤクルトは早い時期から海外進出し成功を収めました。その成功のポイントは、教育分野の開拓から乳酸菌市場を形成したこと、ヤクルトレディの営業によりボトムアップ式に販路を拡大したことが挙げられます。そしてその成功を支えた背景には、「世界の全ての人たちの健康を守る」という、確たるヤクルトの企業理念があるのではないでしょうか。