ブロックチェーンがビジネスの進化だけでなく、社会問題さえも改善できる理由

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出典:http://labokuma.hatenablog.com/entry/2018/01/11/222424

こんにちは、Taikiです。

2019年1月、宅ファイル便が480万件もの個人情報流出した件は、記憶に新しいでしょう。情報産業にとって、システムの脆弱による情報流出は防がなくてはいけません。

その堅牢で利便性のあるシステム要件を満たす情報セキュリティ技術として、ブロックチェーンが注目されています。

今回は、なぜ次世代技術として、ブロックチェーンが注目されているのか、社会にどんな利益をもたらしていくのか、そして、今後どう広まっていくかを考察します。

目次はこちらになります。

ブロックチェーンはなぜ安全といえるのか

既存システムと比べてブロックチェーンはどのくらい安全なのでしょうか。

ブロックチェーンは、従来のサーバによる集中管理ではなく、「分散型台帳技術」と呼ばれる分散管理を行い、複数のユーザーが取引データを保持し、その整合性を監視しています。例えば、今まで、数千のユーザーを抱える取引のデータは、基幹サーバで集中管理し、その整合性をチェックしました。従って、攻撃者の対象はその基幹サーバに絞ることができます。

しかし、ブロックチェーンを採用した場合、数千のユーザーが分散して同じ取引データを保持し、その整合性をお互いに監視しているため、セキュリティ強度は飛躍的に高くなります。

但し、このマイニングとよばれる取引データの整合性チェックは、スパコンのような高い処理能力が求められるため、パーソナルユースのPCでは難しいとされています。しかし、この処理を実行したユーザーには報酬が支払われるため、マイニング作業を進んでおこなう企業やユーザーも多数います。そして、分散型運用のため、局所的なシステムのダウンにも耐え得る設計となっています。

こうしてブロックチェーンは、ビットコインや金融サービスだけにとどまらず、決済、証明、契約などあらゆる場面に活用できる技術として、期待されています。

奈良先端技術大学では、ブロックチェーンの技術を応用し、IoTのセキュリティを保証する技術を開発しました。

www.naist.jp

しかし、NEMという仮想通貨の流出でも分かるように、ブロックチェーンの実用化にはまだまだ課題が多いため、各社で実証試験や研究がが行われている段階です。

ブロックチェーンができた背景

このブロックチェーンという構想はどうやって生まれたのでしょうか。

ブロックチェーンはそもそもビットコインという仮想通貨の実用化を支えるための技術でした。ビットコインブロックチェーンもサトシ・ナカモトという匿名の人物(またはグループ)が開発したものです。

このサトシ・ナカモトがビットコインを世に送り出した理由は、長年あらゆる商取引の間に銀行が入り込み、中間搾取するという図式を変えたかったから、とされています。つまり、銀行という巨大な中間搾取の介在をなくすべく、ブロックチェーンという技術が生まれました。いわば個人が銀行業務を代行するジャイアントキリングの発想がその由来となっています。

しかし、ビットコインは中間搾取をなくすための統一通貨ではなく、単なる投機性の高い金融商品とみなされて暴落を繰り返し、逆にブロックチェーンの技術は高く評価されました。

皮肉なことに、その技術を応用し、自社のビジネスやセキュリティを強化しようとするのは、銀行をはじめとする大手の企業です。この事実は、ブロックチェーン関連の特許出願をみると分かります。

出典:https://junyahirano.com/about_blockchain_patent/

ブロックチェーンが社会にもたらすもの

次に、ブロックチェーンの技術はどんなことに役立てることができるでしょうか。

ブロックチェーンは情報セキュリティの要として注目されています。情報セキュリティの三原則はCIAと呼ばれる、機密性、完全性、可用性ですが、この三原則から今後の実用例を考えてみましょう。

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https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0509/15/news002.html

例えば、こんな事が可能になるとされています。

  • ネット投票
  • 生体情報による決済
  • 個人間送金や国際送金のスピード向上やコスト削減

ネット投票ですが、昨年つくば市では、国内初のネット投票の実証実験を行い、本人確認やセキュリティの確保のためにマイナンバーカードとブロックチェーン技術を併用しました。

またKDDI日立製作所は、ブロックチェーン と生体ID認証を組み合わせたクーポン決済システムの実証実験を行い、異業種間のアライアンスの強化をサポートしています。

出典: https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2018/07/25/3279.html

 富士通は全銀ネットと協力し、ブロックチェーン技術「銀行間システム」を実証しています。銀行間で資金決済が必要になった場合、旧来の方法ではなく、決済用のデジタル通貨で送金を処理することにより、手数料や人件費などの送金コストを抑えることが期待されます。

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出典:http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/10/29-1.html

また国際送金においても、「コルレス契約」という旧来の送金方法があり、銀行間の送金経路が固定され、送金経路数が多ければ、手数料や日数が嵩んでしまうという課題がありました。この課題を打開するため、JPモルガンブロックチェーン決済プロジェクトINNを立ち上げ、世界75行が参加します。

今後のシナリオ

政府はブロックチェーン活用にまだまだ及び腰ですが、米国を中心に政府機関でもブロックチェンの実用実験や研修は年々加速しています。もし政府主導で、ブロックチェーンソリューションに乗り出せば、数々の社会問題にかかる社会コストを削減できる可能性は大いにあります。

例えば、下記のような市民サービスがネットで享受できたらどうでしょう。ブロックチェーンによるセキュアな管理のおかげで、情報はトークン化されて盗聴されず、スマートコントラクトによって、自動で条件確認や履行が行われるとしたら、劇的にコストを削減できると思いませんか。

  • 出産一時金や児童手当の手続きや管理
  • 失業給付の手続きや管理
  • 国民保険の手続きや管理
  • 年金の手続きや管理
  • 介護保険の手続きや管理
  • 高齢者医療保険の手続きや管理
  • マイナンバーの手続きや管理

もし政府が本気でこういった施策に乗り出せば、民間でもブロックチェーンソリューションは爆発的に普及することでしょう。先の出願数を国別でみると分かるように、中国は既に政府レベルで動いています。

所感

個人的には、ブロックチェーンで新たなユーザー体験を創造できると思います。今までと同じ見せ方で実用化してもブロックチェーンの価値は薄まります。例えば、従来のクレカ決済や電子マネーを裏でブロックチェーン化したところで、ユーザー体験が変わらなければ大きな効果は期待できません。

ユーザ体験の創造によってイノベーションが生まれます。かつてはアナログだったものが、ここ数年でネットで動画を視聴できたり、スマホで新聞を読めたり、SNSで連絡が取れるようになりました。それと同じように、近い将来、生体認証による電子決済ができたり、選挙でスマホ投票ができたり、ネットで公的な手続きができるような、今までになかったユーザー体験ができることを期待しています。