Taiki's Blog

ビジネスやテクノロジー、社会問題の今後に迫ります

東京オリンピックの明暗とその後のシナリオ

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こんにちは、Taikiです。

今回は、20回目の記事という事で、東京オリンピックについて書きます。

先日、五輪チケットの抽選結果が発表されましたが、いかがでしたでしょうか。東京マラソンよりも高いとされる倍率の前で、涙をのんだ方も多かったのではないでしょうか。リセールサービスもあるようなのでまだチャンスはあります。希望を捨てずにいきましょう。

では本題の話をします。東京オリンピックの経済効果は、約32兆円と言われています。

では、その経済効果の内訳はどうなっているのでしょうか。オリンピックでどこが潤い、どこが困るのでしょうか。東京オリンピックが始まると、我々の日常生活にどんな影響があるのでしょうか。そして、オリンピック後はどういうシナリオが待っているのでしょうか。今回は、その疑問に迫ります。

目次はこちらになります。

オリンピックがもたらす利益と損失

東京オリンピックの経済波及効果は全国で約32兆円と言われています。そもそも経済効果とはどう定義されるのでしょうか。経済効果を割り出すためには、試算した需要増加額に、係数を入れて経済波及効果を割り出します。経済波及効果とは、Aという製品が生産されることでBという製品の生産を誘発することを指します。例えば、車を生産すると、タイヤや計器、バッテリーやセンサーなど別の部品も生産され、大きな経済波及効果を生みます。以前日産の村山工場が閉鎖した際、周辺の自動車部品工場もなくなし、武蔵村山市に大きな経済損失を与えました。

少し寄り道しますが、開催都市はなぜ東京なのでしょうか。実は、2008年の北京オリンピックには、開催都市に大阪市が立候補していました。大阪市が落選した理由は、交通の便と財政問題でした。当時視察にIOCが来阪しましたが、彼らを乗せたバスが何度も交通渋滞に巻き込まれるという不運も重なったようです。大阪は、開催地決定投票でわずか6票しか獲得できず最下位に終わったという苦い経験があります。つまり、交通アクセスや財政力など総合的に考えると、日本がオリンピックを招致するためには、東京以外に選択肢はなかったということです。

オリンピックで潤う業界

それでは、話を経済効果に戻すと、東京の経済波及効果は約20兆円、全国では約32兆円となっています。

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出典:https://www.2020games.metro.tokyo.jp/9e1525ac4c454d171c82338c5a9b4c8a_1.pdf

経済波及効果には、直接的効果とレガシー効果というものがあります。

直接的効果は、オリンピック開催に直接関係するモノやサービスの需要です。例えば、競技場の整備やテクノロジー開発にセキュリティ強化、観戦者の入場料やプロモーションもそうでしょう。

レガシー効果とは、開催後にも効果が期待されるモノやサービスの需要です。施設の有効利用やテクノロジーの応用、観光需要の拡大です。

では、産業別にみたとき、直接的効果とレガシー効果の大きい業種はどれでしょうか。産業別の直接的効果を見ると、それは建設業とサービス業になります。

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出典:https://www.2020games.metro.tokyo.jp/9e1525ac4c454d171c82338c5a9b4c8a_1.pdf

 更に、的を絞り、建設業の中で特にオリンピック需要の恩恵を受けていると思われる会社はどこでしょうか。建設業の代表例でいうと、新国立競技場の元施工で首都圏比率も高い大成建設とオリンピック需要で大量のセメントを用立てる太平洋セメントになります。

サービス業は色々ありますが、今回はホテルにフォーカスしましょう。2013年に東京オリンピックが決まって以来、ホテル業界の業績は堅調に推移しています。

訪日外国人にとって人気の国内ホテルはどこでしょうか。トリップアドバイザーの人気ランキングによると、クラブメッドザ・リッツ・カールトン、マリオット、インターコンチネンタルなど外資系ホテルがあげられています。

tg.tripadvisor.jp

なぜ訪日外国人は日本でも外資系ホテルを利用したがるのでしょうか。訪日外国人がホテルに求めるポイントをみていきましょう。

  • アクセスが良い
  • 言語の壁を感じない
  • 通信環境が整っている

日本に進出している外資系ホテルの多くは、所有者と経営者が別々になっています。例えば、ザ・リッツ・カールトン東京の所有権は三井不動産ですが、運営権はザ・リッツ・カールトンカンパニーL.L.Cにあります。三井不動産がアクセスを確保し、ザ・リッツ・カールトンカンパニーL.L.Cのスタッフによって、言語や文化の壁は取り払われます。全世界にホテルがあるという安心感もあり、日本国内でも外資系ホテルは人気です。

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出典:https://nomad-english.com/archives/16285

オリンピックに伴う不利益

逆に、東京オリンピックによって、どこが困るのでしょうか。現在、東京オリンピック需要の建設ラッシュにより、資材が不足しています。具体的には、建物の柱や梁を結びつける「ボルト」が不足し、建設工事の遅れが相次いでいます。オリンピック需要に関わる都市開発や建設工事だけでなく、地方の施設や橋などのインフラ整備の遅延も引き起こしています。また、東北や熊本の復興も遅々として進まず、復興五輪という言葉に違和感を覚える人もいます。もし新たな災害が起こった場合、復旧に充てる余力は今の日本にはありません。

日常生活への影響

東京オリンピックの期間中(2020年7月24日 – 2020年8月9日)は、我々の日常生活にどんな影響を与えるのでしょうか。

最も確実な事は、交通機関の混雑です。東京オリンピック中は都内の人口が7割増しになると言われています。つまり、この期間中は国内外から約700万もの人が東京に流れ込み、通勤ラッシュの時間帯は電車1割増し、高速道路は2倍以上の混雑が予想されます。その緩和策として、お盆休みなど前後の休みをこの期間に集中させたり、時差出勤やテレワークなどが計画されているようです。

オリンピック後のシナリオ

オリンピック後のシナリオとして、景気の低迷が予想されています。その理由は、過去も他のオリンピックで景気が低迷し、1964年の東京オリンピックの後も「昭和40年不況」が発生したからです。

では、具体的にオリンピック後はどんな事が起こるのでしょうか。これまでの傾向と今後のニーズを踏まえ、今後のシナリオを考えます。

都市の再開発

東京オリンピック後も都市開発は続きます。2022年に森ビルが麻布で330Mの超高層ビル建設を予定しています。更に2025年には大阪万博、2027年には東京と名古屋間のリニアモーターカーに加え、三菱地所が東京駅に390Mの超高層ビルを建設予定です。この都市の再開発により、2025年までは、経済は緩やかに成長するのではと期待されています。

シェアリングエコノミーの拡大

今後は車や自転車は購入せずに利用する傾向が強まるのではないでしょうか。同時に駐車場のシェアリングも活発になります。現在、駐車場業界の大手であるパーク24は関西を中心に一部の駐車場を無料で開放し、駐車場の広告料を収入源とするビジネスモデルをつくっています。またakippaのシェアリングサービスを利用し、駐車場をシェアする企業や個人も増えています。中国やシンガポールではマナーの悪さが目立ちますが、ルールさえ整えば、節約志向でマナーの意識が高い日本人の間では、シェアリングエコノミーは定着すると読んでいます。

インバウンド消費と海外戦略

2025年は、1950年迄に生まれた団塊世代後期高齢者となり、人口減少と財源圧迫が一層強まります。人口減につれ国内消費も落ち込むため、インバウンド消費が益々重要になりますが、オリンピック効果もあり訪日外国人の数は堅調に推移しています。今後は更なる誘致のために、政府主導で公衆無線LANやキャッシュレス化の拡充を進めていくでしょう。

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出典:https://chibra.co.jp/taiken/2017-kotoshouhi-market/

また人口減少による労働力不足を補うため、外国人労働者の雇用も活発になります。外務省は人手不足が深刻な建設や農業、介護など5業種を対象に2019年4月に新たな在留資格を設けました。

そして、人口減少に伴う国内消費減を見越して、海外に販路をもつ企業が今後は生き残るはずです。特に、海外でもアジア新興国をマーケットにもつ企業は有利です。なぜなら、アジア新興国は、50年前の日本と同じように高度経済成長期を迎えつつあるからです。当時の日本は、労働人口も多く世界でも生産大国とされていました。その後、生産大国の地位は中国に奪われ、中国は「世界の工場」と呼ばれるようになりました。しかし、一人っ子政策の影響もあって中国の人件費は高まり、今となっては貿易摩擦も影響し生産拠点は東南アジアに移転しています。

では、東南アジア市場に強い企業はどこでしょうか。即席めんの「ハオハオ」を大ヒットさせたエースコックベトナムで5割のシェアを持ち、利益の3割以上を同国で稼いでいます。同じベトナム繋がりでいくと、「サロンパス」で有名な久光製薬ベトナムで6割のシェアをもっています。味の素は、東南アジアもそうですが、その先にあるアフリカ市場でも既に高いシェアをもっています。貧困で食材の少ないアフリカでは、色んな味を生み出す味の素のスープが重宝されています。

toyokeizai.net

こういった海外進出に成功している企業の共通点は、高いインセンティブ制度と使命感です。現地で成功を収めるためには、ローカライズが不可欠になりますが、そのためには、現地で骨を埋める気概のある社員が必要です。億単位のインセンティブ制度を設け、社会貢献性の高い使命感を海外駐在員に植え付けることが成功の鍵となります。

テクノロジーの進化

今後注目されるテクノロジーは何でしょうか。実績のあるクラウド、事故率を抑える自動ブレーキや自動運転、そして情報事故を防ぐブロックチェーンが手堅いでしょう。

昨今AIやIot、ビックデータがよく話題にのぼりますが、その殆どがクラウドをベースに設計されています。クラウドは実績もあり、初期費用もかからないため、今後も更に伸びていくでしょう。

次に、自動ブレーキや自動運転ですが、最近高齢者の死亡事故が問題となっています。高齢化が進むにつれ、これらの需要も高まるでしょう。政府は自動ブレーキ装備車両の減税を考えています。実際に自動ブレーキ装備車の事故減少効果も立証されています。

ではブロックチェーンはどうでしょうか。これから労働人口が減るにつれ、組織の省人化も進みます。例えば、JRは特急を全車指定席に変え、人手がかかる社内のチケット販売をやめました。銀行はフィンテック化を進め、窓口業務や紙の手続き廃止し、人件費削減に努めています。

人件費削減や変化を嫌い、銀行から市役所など自治体に人材が流出している話も聞きますが、自治体も例外ではありません。高齢化に伴い、介護医療費が拡大して赤字の自治体が増えています。当然自治体も経費削減のため、近い将来、省人化は避けられません。銀行と同じように窓口業務を廃止し、WEBで諸々の手続きを完結できるような時代にならざるを得ません。その際に懸念されることが個人情報の流出やなりすまし等の情報事故ですが、そこで登場する技術がブロックチェーンです。銀行では、既にブロックチェーンを応用し、「機密性」、「完全性」、「可用性」のCIA確保に動いています。詳細は、過去の記事をご覧ください。vtaiki.hatenablog.com

医療業界の飛躍

先進国の高齢化や途上国の経済水準が加速するにつれ、医療業界も堅調に推移していくことでしょう。国際的に権威のある専門誌Lancet(ランセット)によると、日本の医療水準はかなり上位にあり、日本の医療の質は最高レベルとされています。今後も国内外から日本の医療技術は求められるでしょう。

農業の活性化

昨今農家不足が問題とされていますが、農業にはいろいろな面で未知の可能性を感じます。

例えば、オプティム という会社は、農家に無償でIoTバイスを貸出し、収穫された作物を自社で買い取って販売するというサプライチェーンを確立しました。IoTを使って農薬を9割減らして収穫できた作物は、市場価格よりも高値で取引されているようです。農業はこういったテクノロジーとの融合も可能にしています。

農業には、多様な労働者を受け入れるだけの器もあります。例えば、言語や文化が異なる外国人労働者にとって、農業は働きやすい業種ではないでしょうか。外務省は農家で働く外国人の在留資格を緩くしていますが、農林水産省でも、農業分野における障害者就労を促進しています。

JAによると、49歳以上の新規就農者が増えていますが、ビジネスに疲れたサラリーマンや定年退職者が第二の人生として農業を始めています。昨今は休耕地が増え、農業支援金など国のバックアップもあるため、条件も悪くありません。人生100年の中で、経済的な豊かさだけでなく、人生の豊かさを求めて農業を始める人も多いのではないでしょうか。 

4.まとめ

華やかに見える東京オリンピックの影には、資材不足や復興遅延があります。またその先には、少子高齢化や人口減少などの課題も山積しています。

打開策として、テクノロジーの進化やインバウンド消費、海外戦略などをあげましたが、皆さまもお分かりのように、今後は経済的価値だけでなく、生命資本主義といった人生を満足できるような社会的な方向性も必要になってくるでしょう。高度経済成長やバブル崩壊を経験し、利潤追求の果てに表れた社会問題にどう付き合っていくか、今後注目されます。