米中貿易摩擦の背景と今後のシナリオ

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出典:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16608

こんにちは、Taikiです。

米中の貿易協議は、一時は合意に至ると思われましたが、中国側の反発により、熾烈な貿易摩擦へと展開しました。詳しい経緯はこちらになります。

中国側は、国有企業に対する中央政府補助金制度の見直しについて、米国政府の要求を相当分受け入れたものの、最終段階で米国政府が地方政府による補助金の見直しも合意内容に加えることを要求し、それを受け入れることができなかったと説明している。地方政府による補助金は、景気対策や企業誘致など、貿易政策とは直接関係のない国内政策で多く利用されるためだ。米中貿易合意で、こうした国内政策が強く制限されることになれば、それは不当な「内政干渉」に当たると中国政府は考え、受入れを拒否しているのである。

出典:https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2019/fis/kiuchi/0516

そもそもアメリカはなぜ中国に一方的な合意を求めたのでしょうか。また制裁関税するアメリカの目的は何でしょうか。今後はどういう展開になるのでしょうか。

目次はこちらです。

貿易摩擦の背景

アメリカは他国との取引において巨額の貿易赤字を抱えています。中でも中国との取引のいて、大きな赤字が発生しています。元々アメリカは消費大国のため、安くて供給が安定している中国からの輸入が盛んです。中国は、アメリカから得た外貨を使って設備投資を増やし、その中国のGDPアメリカに迫りつつあります。

イギリスの金融大手スタンダート・チャータード(Standard Chartered)のデータによると、アメリカは早ければ2020年にも世界ナンバー1の経済大国の地位を失う可能性がある。

出典:https://www.businessinsider.jp/post-183133

こういった事情を背景に、アメリカは中国に通商交渉の合意を求めましたが、中国側からの反発を受け、制裁間税に至ります。間税措置は他国だけでなく自国の産業を悪化させる諸刃の剣です。例えば、高い間税をかけると部品の輸入が減り国内の生産量が低下したり、間税の分だけ価格転嫁が起こり国内製品の値上がりを誘発します。逆に中国側から報復制裁を受ければ米国の輸出も減ります。しかし米国はこういった事情を見越して関税措置を断行しました。何故でしょうか。

間税措置の狙い

アメリカの間税措置の目的は何でしょうか。

関税措置は米中合意に至るための手段になりますが、その目的は、来る2020年の大統領選でトランプ大統領が再選を果たすことにあります。

中国の自由経済

中合意の意図は、貿易収支の改善もそうですが、より大きな狙いは、中国の国家資本主義を崩し、米国と同じように中国を自由経済化することです。

米国の主張では、中国が菅民一体で、先端テクノロジーの内製化や低価格化を進め、米国の経済を圧迫しています。それを可能にしているのが先述した中国政府の産助金です。その制度を見直し、官民の癒着を断ち、中国を自由経済化することが米国の狙いです。

中国の知財管理の是正

米国が米中合意を求めるもう一つの理由は、中国の知財管理にあります。

中国のマーケットが巨大化するにつれ、技術移転の強要や技術盗用が問題視されるようになりました。加えて、手に入れた技術情報を自国の知的財産として囲い込み、国外企業を訴訟するようになりました。中国では、国家知的財産権戦略の実施に伴い、知的財産権の司法保護が顕著に強化されています。それに伴い、知的財産関連訴訟も増加の一途をたどっています。

更にファーウェイが5G製品を通じて、世界中にネットワークを張り巡らしバックドアを設けると、中国政府に情報が筒抜けになります。米国がファーウェイを排斥する理由もここにあります。ちなみに同社の創業者は人民解放軍出身で中国共産党と深い関係にあります。

以前スノーデンの告発により、大手通信会社のVerizonなどはNSAアメリカ国家安全保障局)の求めに応じて個人情報を漏えいしたことが明るみにでました。中国国内ではそれ以上の事が公然と行われていると考えらえます。このまま放置すると、中国の金盾(グレートファイアウォール)は、国内だけでなく世界のネットワークをも監視検閲できる脅威をはらんでいます。

その侵略に待ったをかけたのがトランプ政権です。そして、トランプ政権は、自由と平等を愛する国民から高い支持を受けています。

今後のシナリオ

中国政府は米中摩擦の長期戦を辞さない構えです。中国政府はこういったシナリオを待ち望んでいます。

米中貿易摩擦の激化→アメリカの景気冷え込み→トランプ支持率低下→トランプ落選

中国には米国の石油やガス、穀物、自動車を禁輸する手もあります。また米国の産業にとって、不可欠なレアアースの供給を止めるという切り札もあります。

一方の米国は、中国が合意しなければ第4弾となる追加間税をかける方針ですが、それを実行すると米中の経済は一気に冷え込みます。景気減速は大統領選の大きなマイナス要素にもなりかねません。とはいえ、米国にとっては、中国の体制を改めさせないと、いずれ米経済が中国に食われ、安全保障の地位も揺るぎかねないとしています。

 まとめ

米国は、トランプ政権の大統領再選を目的とし、米国にとって不利益となる産業補助金知的財産権保護などの体制見直しを要求しています。直近では、大阪のG20が最大の焦点となっています。

これは仮説ですが、今後中国がGDPで米国を追い越して盤石の地位を築くと、同じように米国を追い込むことになるでしょう。更に、金盾と巨砲とよばれる国家システムでGAFAをはじめとする米国企業の排斥を始め、その経済制裁を安全保障の切り札に使い、国家間の交渉を有利に進めることができます。

そう考えると、この貿易制裁は、トランプ政権の再選だけでなく、米国の未来をかけた一戦と捉えることもできます。日本としては、事態の早期収拾を祈るばかりでしょう。