提案の質を上げるために考える事

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こんにちは、Taikiです。

先日ある知人から店舗にWi-Fiを導入したいとの相談を受けました。お客様にWi-Fiを公開し訪問数を増やして売上に繋げたいそうです。本部への提案前に相談を頂きましたが、この提案には、どんな課題があるでしょうか。今回は、この点に迫ります。

目次はこちらです。

戦略の立て方

店舗Wi-Fiの導入で、どう売上を伸ばすことができるのでしょうか。知人の説明では、「Wi-Fiを導入することで、お店の訪問数を増やすことができる。Wi-Fiのログイン画面から自社の特定サイトを訪れてもらえれば会員数も増やる。その結果、リピータも増え売上を増やすことができる。」だそうです。

しかし、この説明では採算が分かりません。モバイルルーターか固定回線、いずれにしても初期費用や月額費用が発生します。それに見合う効果はあるのでしょうか。もし売上を、「客数x客単価x購入頻度」と定義すると、Wi-Fi導入で、どれをどの程度増やせるかが争点になります。

確かに、Wi-Fiの導入店舗は増えてきました。しかし、それだけでは他店との差別化が難しくなります。先の説明では本部を納得させることはできないでしょう。この提案の弱点は根拠が乏しい事です。知人は、採算の根拠が乏しいマーケティングを軸にWi-Fi導入を企画してしまいました。

少し話は変わりますが、アンゾフの成長戦略というものがあります。市場か製品か、優位性を持つ方を軸に戦略展開するというものです。この戦略をヒントにすると、より根拠がある領域で企画提案できないかという発想が生まれます。例えば社内の業務改善です。ここに着目する理由は2つあります。

  • 今までネット回線がなかった為、導入した時の改善余地や効果が大きい
  • 社内の業務分析の方が効果を数値化しやすい

もしこの提案が通れば、これを布石にWi-Fi導入の線も見えてきます。一旦回線を引き込めばVLAN化し社内と社外用とで分けて使えるからです。また回線導入で業務改善が進みコスト削減できれば、新商品の販促やアンケート調査など、店舗Wi-Fi導入の目的をよりクリエイティブなものにできます。

よりコントロールしやすい武器で勝負する、初回の施策ではこの点が特に重要になります。但し業務改善にも相応のコストがかかるため、その費用やリスクも含めマイナス要因の評価を入念に行う必要があります。

消費行動のプロセス化とボトルネックの特定

では、Wi-Fiを導入するとして、その後はどうすれば良いでしょうか。

まずはWi-FI利用者の行動分析が基本ですが、消費購買プロセスのフレームワークにAIDA(アイダ)というものあります。

  • Attention(認知)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲求)
  • Action(行動)

AIDAを参考にWi-Fi導入後の消費プロセスを考えてみましょう。

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消費者の行動プロセスを考える理由はボトルネックを掴むためです。店側は来客者にWi-FI利用後、特定のページにアクセスしてもらい、クーポンを利用してもらいたいとします。各フローの状況が分かれば、どこがボトルネックかを特定することができます。

例えば、来客数は多くてもWi-Fi利用者数が少なければ、その存在やメリットを周知する施策を立てます。Wi-Fi利用者数が多くてもページアクセス数が少なければ、興味付けができていない又は分かりにくいという事が考えられます。ページアクセス数が多くてもクーポン利用数が少なければ商品自体に価値を感じていないのかもしれません。

ボトルネックが分かれば、原因を絞り込め課題も見えてきます。後は、PDCAのサイクルに乗せて最適化を繰り返すことです。そうすると、消費者の行動がより可視化され、有益なデータやパターンが見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

資本の大きな組織では、この手の情報収集はビッグデータに吸い上げ、自動解析させたりしますが、目的は傾向と対策です。その公式を組み上げるのは人間の仕事、マシン側にはその変数に必要な値を算出してもらう、それが実際の役割分担ではないでしょうか。

提案の質を上げるために考える事、それは採算ありきが前提だという事です。その採算を立証するためには、根拠となる確かな数字が必要です。従って前例のないアイデアで仮説を立てるよりもデータが豊富な実績をベースに提案することが定石といえます。