高齢者が運転を続ける理由と事故を減らすための施策

こんにちは、Taikiです。

池袋の悲惨な事故を受けて、高齢者ドライバーの是非が問われています。

加齢により動体視力や判断力が衰え、運転に影響が出ることは周知の事実です。

にも関わらず、なぜ高齢者はハンドルを握り続けるのでしょうか。そして、高齢者の事故を防ぐためにはどうしたら良いでしょうか。今回は、その2点を考察します。

あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。

目次はこちらになります。

なぜ高齢者は運転を続けるのか

なぜ危険を承知で高齢者は運転するのでしょうか?まずはこの理由に迫りたいと思います。

身体能力の衰え

加齢に伴い、動体視力や判断力もそうですが、筋力や足腰など身体的にも衰えが見えます。また身体的な衰えは日常生活に直接影響します。

高齢者が運転免許を返納しない理由をみると、買い物や旅行、荷物の運搬など身体への負担が大きいものが中心にあります。

出典:https://www.google.co.jp/amp/s/www.sankeibiz.jp/business/amp/180613/prl1806131002013-a.htm

ライフステージの変化

定年を迎えた人は次に何をしたいと思いますか?

首都圏在住の30歳~69歳の男女を対象としたアンケートを見てみると、定年退職後にやりたいことのトップは「国内旅行」です。おそらく車の利用機会も増えるでしょう。自由な時間が多い分、乗車率も高いはずです。

出典:https://www2.fgn.jp/mpac/_data/8/?d=200710_02

経済的な理由

続いて年齢別の個人貯蓄残高をみると、やはり60歳以上であるシニア世代の貯蓄高が多いことが分かります。この財力が自動車の維持や車の買い換えを可能にしています。

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出典:https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report181213.pdf

一方で経済的に不安を抱える高齢者も、仕事のために車を運転する傾向にあります。配送用の軽トラックやバンを運転する高齢ドライバーをよく目にしますが、その背景にあるのは運送業界の人手不足です。

運送業界は、宅配取扱数の増加や高い離職率のため、慢性的な人手不足です。そのため、シニア世代を積極的に採用しています。また求職する高齢者にとっても仕事を選べる立場ではないため、運送会社への就職を決めます。今後も運送業で働く高齢ドライバーは増えていくでしょう。

なぜ高齢者の事故が問題なのか

近年、報道により高齢者の事故がよく目につきます。

警察庁の統計をみると、実際にはシニアより若い世代の事故件数が多めです。

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出典:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/H29zennjiko.pdf

 しかし事故の深刻さは高齢者がです。

こちらのグラフを見ると、確かに10代後半から20代前半の事故数は多いですが、75歳以上死亡事故数は群を抜いています。

事故を減らすための施策

どうすれば高齢ドライバーの事故を減らすことができるのでしょうか。

内閣府の統計をみると、今後75歳以上の運転免許証保有者は増加の一途をたどっています。したがって、高齢者の事故を減らすための対策は急務となります。

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出典:https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/gaiyo/features/feature01.html

2014年の改正道路交通法により、75歳以上の免許返納が進められています。免許返納は事故率低下につながりますが、先に紹介した高齢者の運転事情を考慮すると、中々進まないでしょう。また返納後は、交通手段の代替サービスを提供する工夫も必要になります。

 安全運転サポート車(サポカー)の普及促進

仕事など経済的な理由で運転免許を返納できない高齢者も多いでしょう。更に、過疎地域で生活する人にとっては免許返納は死活問題です。

こういった理由を考えると、エコカー減税のようなサポカー減税を早期に開始し、サポカーへの乗り換えを推進することが急務になります。自動ブレーキ割引は既に始まっていますが、認知度の低さや金銭的メリットが不十分です。メリットを感じることができなければ、高齢ドライバーはいつまでも動かないでしょう。

交通手段の代替サービス

免許返納した後、「生活の足」を奪われた高齢者はどう生活すれば良いでしょうか。

免許返納を促進するためには、交通手段の代替サービスを提供するが必要です。いま議題にあるアイデアは、コミュニティーバスや乗り合いタクシー、公共交通機関の割引です。しかし共通の課題は、路線や運行時刻が決まっているため、自由度が低いことです。今後「生活の足」をなくした高齢者はさらに増加し、公共サービスで支えることは難しくなります。

以上を踏まえると、国はライドシェア解禁に動いても良いと思います。

ではライドシェアとタクシーは何が違うのでしょうか。米国のUberの例をみるとタクシーより料金が圧倒的に低いです。また一般人も配車サービスを行えるため、地域全体の配車カバー率が高まり、高齢者にとっても行動範囲が広がります。

気になるのは、運転者の「質」ですが、Uberのようにレビュー機能を付けると底上げが期待できます。むしろ、今のタクシー運転手の「質」にこうも個人差がある理由は、フィードバックや評価体制が不十分だからではないでしょうか。

現在、政府も「白タク営業」規制緩和を進めているようですが、残念ながらタクシービジネスの延長でしかありません。

www.sankeibiz.jp

まとめ

ライフスタイルの変化や身体能力の衰え、経済的な理由により、高齢ドライバーは今後も増え続けるでしょう。

免許返納だけでなく、サポカー普及促進やライドシェア解禁など今後は高齢ドライバーをサポートする多角的な施策が求められます。