指示通りに動くと失敗しやすい理由とマニュアル人間にならないための施策
こんにちは、Taikiです。
どの仕事にも組織の方針や上司の指示、業務手順などの決まり事があります。その決まり事に従っていれば、失敗はないのでしょうか。
マニュアル通りに行う事と正しく行う事とは違います。マニュアル通りとは、既存のやり方を正しいと思いこむ事です。なぜ正しいはずのマニュアルが失敗の原因となるのでしょうか。今回はこの理由に迫ります。
目次はこちらになります。
ジワジワと失敗する
上司の指示通りに動くと少しづつ忙殺される可能性があります。常にビジネスやテクノロジーは変化しています。これに対応できていない、従来の方針通りに仕事をすれば、やればやるほど時間の損失が嵩み忙殺されます。
従順な方が評価されやすいかもしれませんが、その分、任せられる業務も多くなります。無駄を抱えたまま仕事を続けるとどうなるでしょうか。年数が経つほど慢性的に忙しくなります。結果、仕事の大半はルーティーンワークに取られ、クリエィティブな時間は殆ど確保できず、生産性は落ちる一方です。更に、KPIなど客観的な評価指標がない組織だと、属人的な評価制度が横行し、改革の意欲も失せ社畜化します。
大きな失敗をする
指示通りに働くとプロジェクトと心中することになるかもしれません。プロジェクトとは規模が大きい仕事です。規模が大きい程、集団心理が働き、全ての決定が正しいと思いこみ見落としに気付きません、または見通しに気付いても楽観視します。
代表的な例はセブンペイ事件ではないでしょうか。あれだけ大組織でありながら、二段階認証などの基本的なセキュリティ対策が漏れ、不正利用により、ユーザーに大きな被害を与えました。おそらく、CIOなる担当もいて、複数のベンダーも関わり、ノウハウもあったはずです。ヒエラルキーによるトップダウンの命令に誰も逆らえず、問題を楽観視しながらサービスインしたことは容易に想像できます。まさに起こるべくして起きた問題です。セブンペイの事件は、システムの脆弱さではなく、組織の脆弱さにより引き起こされました。組織の脆弱さとは、マニュアル通りの指示通りにしか動けないという組織体質です。
失敗の癖がつく
上記二点は、一過性のものですが、マニュアル通りに動くことが定着すると判断力が奪われ、慢性的に仕事ができない状態に陥ります。忠誠心や従順さは人の判断を鈍らます。軍国主義時代の日本が最たる例でしょう。赤信号を皆で渡り、多くの犠牲を生んでしまいました。
マニュアル通りに動く事は既に人間の仕事ではなくなりつつあります。RPAで少しずつ代替されていくでしょう。今の時代に問われる能力は問題解決能力であり、その為の判断力です。では何を軸に判断するのでしょうか。その1つはレバレッジでしょう。つまり最小努力や最小リスクでいかに最大効果を得ることができるか、です。
いつの時代も転職の応募にはコミュニケーション能力が掲載されています。そこには、問題解決のために自走できる人間を採用したい、という採用側の意図が見て取れます。
マニュアル通りに動く理由
なぜ人はマニュアル通りに働きたがるのでしょうか。
企業文化
終身雇用、年功序列.....組織によっては、その性格はまだ根強いのではないでしょうか。それは人月商売の多重下請け構造をみても分かります。そのピラミッド構造が、トップダウンのトレンドを強め、服従要素の強い企業文化を生み、マニュアル通りの仕事を強いります。その結果、横の連携は薄まり、下からのボトムアップ提案は期待できなくなります。
2015年、ラグビーの日本代表は、強豪の南アフリカに勝利する歴史的快挙を成し遂げました。当時の監督のジョーンズ氏は、就任当初の印象をこう吐露しています。「精神性や伝統を重んじて科学的な発想が不足している」「上意下達の命令形で、指導者に何か言われれば『はい』と従順に答えるが実は分かっていない」。日本人の弱いところを知り尽くしている彼の発言には説得力があります。
ピッチに立てば監督は助けれくれません。自分の判断で試合を動かすしかありません。そのためにジョーンズ氏は、選手自身で考えること、選手同士で戦略を立てること、つまり自立を促しました。そして、歴史的快挙という結果につながります。
仕事でも想定外の問題ばかりが発生しますが、都度上司に指示を仰ぐことはできません。自律的に動ける人間が重宝されます。
学校教育
もう一つの原因は学校教育です。つい学校と同じ感覚で仕事をする人を見かけますが、学校は仕事とは逆の性質を持っています。そのため学校と同じ感覚だと仕事は失敗します。
学校のパターン
- 正解をあてる
- 基本はインプット
- 真面目にやれば進級できる
- 先生の言う通りにすると概ね問題ない
- 試験では想定内の問題が出てくる
仕事のパターン
- 正解を導くためのプロセスを構築する
- 基本はアウトプット
- 真面目にやっても出世しない
- 上司の言う通りにすると大抵痛い目をみる
- 仕事では想定外の事態が発生する
指示通りに動く癖をつけてしまうと、不測の事態が発生したときに、どうしていいか分からなくなります。時にマニュアルも必要ですが、優れたマニュアルとは小手先の手順ではなく不測の事態に対応できる、判断の一助であるべきです。
マニュアル人間にならない為の施策
マニュアル人間から脱却するためにはどうしたら良いでしょうか。組織から何かをしてもらうのではなく、いい意味で組織を見限り、利用して自分力を養う事です。ひいては、それが成果として組織に還元されます。例え転職することになっても、その能力や実績は貴方自身についてきます。
自分に投資する
いつでも転職できるよう自分に投資しましょう。例えば、セミナーやワークショップ、資格取得などです。できれば会社を説得し補助してもらいましょう。
アウトプットの場所や手段を得る
何でもいいので自由に発言したり発信できる場所や手段を得ましょう。最近ではワークショップやコミュニティが充実しています。ブログなどセルフメディアの方法もあります。
人は間違いを恐れ発言を遠慮する傾向があります。しかし誰も最初から正解は分かりません。最も大事な点は、複数人で議論を深める事です。なぜなら複数の頭が無駄なく動いていれば、それだけ漏れやダブりを減らすことができるからです。そのためには発言慣れする事です。
ホスティングサーバを提供するファストサーバという企業がありますが、2012年頃に顧客のデータを消失してしまうという大きな事故を起こしました。そのインタビュー記事の一部を抜粋します。
当社はもともとトップダウンの文化が強く、また属人的な業務が中心であったことからわかるように、業務を透明化するという意識に欠けていました。そこで、基本的なコミュニケーションを学ぶセミナーやインタビューから始め、ワークショップなどのディスカッションの場を多く設けるようにして、とにかく会話できる環境を整えました。
当初こそ、ぎこちなかったものの、スタッフ全員が「何とかしなければ」という意識を強く持って取り組みへ参加してくれました。徐々に慣れてきて、現在では専門分野の異なるスタッフどうしが積極的に話し合い、協力し合う場面が増えています。さまざまな防止策の中で、最も効果的な施策だったと言っても過言ではないでしょう。
出典:https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/interview/696915.html
この例をみてもわかるよう、会話できる環境を整え、社員同士という横の活性化を図ることが、業務改善の大きな推進力となります。
まとめ
マニュアル通りに動くとは、人生の生き方を他者に委ねている事と同義です。人生の大半はおそらく働いています。会社の言う通りに働き、失職し、仕事の潰しがきかない人もいます。組織に依存せず、自分力を高める生き方をしていきたいものです。また何よりも後悔のない生き方をすることが大切かと思います。