外食離れが進む一方、Uber Eatsの利用が増える理由
Uber Eatsというサービスをご存知でしょうか。注文者と飲食店、配達員のマッチングを行う、オンラインデリバリーサービスです。2014年にアメリカでサービスを開始し、2016年に日本上陸しました。
今後外食離れが進む一方で、Uber Eatsの売上は伸びるでしょう。
今回はその理由とUber Eatsの事業戦略に迫ります。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。
目次はこちらになります。
今後外食離れが進む理由
昨今、外食の売上は伸びています。その理由は、訪日外国人と法人交際費の増加です。
ではなぜ今後、逆に外食離れが進んでいくのでしょうか。理由は2つあります。
消費税増税
1つ目の理由は、2019年10月から施行される消費税の増税(8%→10%)です。
2014年に施行された増税(5%→8%)を見ると、増税前の駆け込み需要と増税後の消費冷え込みが顕著に表れました。
こちらの図は、増税により体感物価の上昇から節約志向が強まることを表しています。
出典:
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp180907.pdf
そして2019年の増税は飲食店にとって更に厳しいものになるでしょう。
今回の増税は贅沢品が狙い撃ちだからです。当然その中には外食も含まれます。一方で、飲食料品や宅配、テイクアウトは軽減税率の対象となり消費税は据え置きです。この税金差が外食離れの強まりに変わります。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf
2021年問題
「東京五輪が終わると景気が低迷する」こう予想する識者は多数います。
2021年問題と言われていますが、過去に遡ると、IMFの調査では、1988年のソウル大会から2008年の北京大会の6大会のうち、5つの開催国で五輪開催後に経済成長が鈍化したというデータがあります。
もし景気が落ち込むと何が予想されますか?
まず経費削減の機運が強まり、外食産業を支えていた法人交際費の予算減が考えられます。
そして、もう一つの懸念点は為替の変動です。
近年、平時には円売りで円安に振れ、景気後退や金融危機など投資家がリスク回避に殺到する有事の局面では円買戻しで円高に振れるというパターンが定着しています。
以前も、2007年夏に米国でサブプライム危機、そして2008年にリーマンショックによる金融危機と景気後退が起こり、世界中の株価が下落しました。株価の急落で大きな損失を抱えた投資家は、リスク許容度を急速に低下させ、円買戻しに殺到したため、急激な円高・ドル安が進みました。
以上の例を見ても、円高・株安、円安・株高は、非常に高い相関関係があることが分かります。
為替の考察にあたって、こちらの記事を参考にさせて頂きました。
出典:米国「景気後退」が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)
景気後退の結果、為替は円高に触れると、外国人は日本に…来たがりませんよね。
つまり2021年問題は、内需外需の両方を減らし、外食産業の勢いを弱める恐れがあります。
Uber Eatsの利用が増える理由
では外食離れが進む一方で、なぜUber Eatsの利用は増えるのでしょうか。利用者とお店、配達パートナーの立場から、その理由に迫ります。
軽減税率の導入
前述したように、軽減税率の対象にデリバリーサービスが含まれています。つまり、外食よりもデリバリーを頼む方が得なので、Uber Eatsの利用者は更に増えるでしょう。
「所有から利用」への変化
飲食店にとって、デリバリー事業の収益化は大きな課題でした。配達員や車両、システムを含めたインフラの所有には高い維持費がかかります。
しかし、Uber Eatsの登場により、デリバリーのインフラは「所有から利用」に変わりました。お店側はUber Eatsに加盟しても初期費用や維持費はかかりません。配達回数に応じて手数料を払うだけです。
このように「所有から利用」へのシフトは、車のような「モノ」だけでなく、デリバリーのような「コト」にも広がりつつあります。
近年デリバリー業を開始するお店は増え、市場規模も拡大しています。
好きな時に好きなだけ働ける
料理を運ぶ配達パートナーも好きな時に好きなだけ配達できます。アプリ上でお店と届け先の住所を確認し、気が向いたら配達の仕事を引き受けます。Uber Eats側で自動決済するため、配達パートナー側は代金回収の必要がありません。
なぜこのような働き方でデリバリー業が成立するのでしょうか。
空き時間に働ける仕事は、誰にとっても魅力的だからです。人間関係やノルマなど余計なストレスを抱えずに働けることもメリットです。
加えて、配達した報酬額が直ぐアプリに表示されることもやる気を高めます。もし配達パートナーが見つからない場合は、注文者側にキャンセル通知が届くだけで誰にも迷惑がかかりません。
まとめ
今後増税が施行され景気の後退も予想されますが、飲食店はUber Eatsに加盟すれば、税優遇を受けることができ、初期費用も維持費もいらないデリバリーサービスを利用することができます。
しかし、Uber Eatsの手数料はお店にとって決して安くありません。今後も価格設定やメニューの差別化など、飲食店の販売戦略はますます求められるでしょう。