4Gが健在な今、政府や企業が5G推進を急ぐ理由
引用:https://www.ilounge.com/news/apple-might-not-release-5g-iphones-until-2020
こんにちは、Taikiです。
世界中の企業が5G事業への参入に躍起になっています。
第5世代通信規格(以下5G)とは、ほとんど活用されていない高周波数帯を使い、超高速通信を実現します。現在の携帯通信と比べると、最高伝送速度は100倍の毎秒10ギガビットになると言われています。分かりやすくいうと、2時間の動画を3秒でダウンロード可能になります。
しかし、なぜ5Gがこうも騒がれるか、不思議に思いませんか。
4Gでもストレスなく動画を視聴することができます。そして、4Gの人口カバー率は99%を超え、当初あった「つながりにくさ」もかなり解消されています。
4Gが健在な今、企業が5G推進を急ぐ理由は何でしょうか。そして、5Gでしかできないことは何でしょうか。
今回は、企業が5G推進を急ぐ理由と政府や企業は5Gで何をしたいか、その意図に迫りります。5Gに少しでも興味がある方は見て損はないと思います。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。
企業が5Gを急ぐ理由
なぜ通信各社は5G事業を急ぐのでしょうか。
利益を取りたいからでしょうか。ユーザーを囲い込みたいからでしょうか。もう少し掘り下げて考えみましょう。
過去の歴史をみると、4Gの登場はユーザーが渇望していました。当時は、音楽や動画など4G向けのキラーコンテンツが数多く存在していたからです。
しかし、今現在5Gでないといけないコンテンツはどれだけあるでしょうか。日常に落とし込んでみるとすぐには思いつきません。なぜなら4Gで殆ど要件を満たしているからです。
現段階で、5Gが必要な理由はまだまだ薄いですが、5Gの技術によって、日常生活や経済活動は劇的に変化することは間違いありません。詳細は後述しますが、今後5Gの技術は不可欠になります。
「周波数」の争奪戦
そう考えると、企業は最初にどんなアクションを起こすでしょうか。
最初は経営資源の確保です。経営資源とは、資金や労働力、設備等のことですが、5Gサービス展開のために、必要な経営資源の確保を急ぐ必要があります。
では、5G導入に必要な資源は何でしょうか。1つ目は、「周波数」です。
総務省は4月10日、5Gの周波数について、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社に割り当てました。
合計10枠の周波数のうち、スマートフォンに使いやすい6枠は、ドコモ、KDDIに各2枠に割り当てられました。ソフトバンクと楽天には各1枠しか割り当てられませんでした。なぜソフトバンクと楽天だけ少なく割り当てられたのでしょうか。
各社は投資金額などの計画を事前に総務省へ申請していますが、上位3社と比べると、ソフトバンクと楽天の予算が低かったためです。すでに5G資源の争奪戦は始まっています。
「スモールセル」の争奪戦
次に予想される5Gに必要な資源は何でしょうか。
それは「スモールセル」という小型基地局です。5Gでは、既存の「マクロセル」という基地局だけでは、カバーエリアが狭くなってしまいます。5Gのような高周波数帯は距離に制限があります。
そのため、「スモールセル」と呼ばれる基地局を細かく敷き詰めて、対応エリアをカバーする必要があります。目視で確認できるかはわかりませんが、そのうち電信柱に無数の「スモールセル」が設置されるでしょう。通信各社は、その「スモールセル」の機器や設置場所の確保を急がないといけません。
このように、5G時代到来に備え、通信各社は、経営資源の取り合いに血眼になっています。資源が不足しユーザーに十分なサービスを提供できない企業は、5G市場から撤退することになるでしょう。
5Gでしか実現できないサービス
では5Gでどんなサービスを提供できるでしょうか。
これを考察するためには、5Gの特徴を掴む必要があります。
引用:https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1903/26/news014.html
5Gの特徴は、 「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3要素です。この3要素を活用して、高品質のサービスが生み出します。
どんなサービスが生まれるか、具体的に想像できますか。
おそらく容易に想像できないはずです。それが5Gを身近に感じられない理由です。誰でもそうですが、身近にある、顕在的な商品やサービスを連想することは簡単ですが、潜在的な新しいサービスを想像することは困難です。総務書が5Gの活用方法を公募していることが何よりの証拠です。
私が考えるに、5Gでしか実現できないであろうサービスのポイントは3つあります。遠隔化、自動化、安定化です。1つずつ見ていきましょう。
遠隔化サービス
5Gの「超高速」「超低遅延」を活用すると、遠隔化サービスを飛躍的に拡充することができます。パソコンを遠隔で操作するようなレベルでありません。
例えば、難病の患者がいて移動が困難です。5Gであれば遠隔で手術ができます。「超高速」のネットワークを使い、8Kの高精細な映像で患部を見ながら手術が行えます。メスなどを扱う際には、「超低遅延」の通信により、遠隔操作の反応が遅れることなく、実際に手術をしているのと同じ感覚で操作できます。遠方にいる医者が遠隔で診察や手術をできれば最短で患者の命を助けることができます。つまり、遠隔化の狙いは、空間を越えて「コト」サービスを提供することになります。
自動化サービス
次に自動化です。KDDIと日本航空(JAL)では、5G通信の特長を生かした「タッチレスゲート」を開発しています。5Gで利用される28ギガヘルツ帯という周波数帯は、「電波が限られた場所にしか飛ばない」という特長があります。その特長を活用して、空港の搭乗ゲートの上から電波を飛ばすことで「5Gスマホにチケット情報を持っている人だけゲートを開ける」ということが可能になります。つまり自動化の狙いは、今後労働人口が少なくなることに備え、省人化や自動化を進めることにあります。
安定化サービス
最後は安定化です。安定化は、「多数同時接続」を活用し、有事の際にも大量アクセスに耐え得ることが狙いです。東日本大震災の時に、アクセスが集中し被災者は十分な情報を収集できませんでした。5Gであれば、アクセスが集中する環境下でも、安定的に通信を確立してくれます。
こちらの記事では、5G技術で端末2万台の「多数同時接続」に成功しています。
そして、IoTの普及にも「多数同時接続」は一役買います。現状、3G/4Gで接続できる台数はおよそ150億台と試算されている。しかし、もうすでに携帯電話は世界で約90億台あります。またIoTデバイス数がそれ以上になると、今のインフラでは対応できません。そこで必要になるのが5Gということになります。
5G関連の注目企業
ちょっと寄り道をして、5G関連で注目を集めるであろう企業を2つピックアップしました。村田製作所とアンリツという企業です。
村田製作所は、セラミックコンデンサーを得意とする製造会社です。セラミックコンデンサーは電気を蓄えたり、放出したりする電子部品でほとんどの電子機器に使われる電子部品ですが、スマートフォン1台に数百個も使われます。
その中のリーダー的存在である村田製作所は、卓越した技術力、自前の生産技術、すり合わせによる設計品質の高さ、高い品質管理能力といった伝統的な日本のものづくり企業の強みを持っています。世界シェアは30%を超えて世界一です。更に高パフォーマンスが要求される5Gスマホでは、4Gスマホ以上にセラミックコンデンサー数が搭載されるはずです。
次にアンリツという企業ですが、こちらは通信回線の計測器を得意とする企業です。今後5Gの回線が普及するにあたり、電波状況の計測は不可欠になるため、これも普及するでしょう。
私がこの2社に注目する理由は、こちらの3点です。
- 他社が真似しにくい技術優位性がある
- 海外の売上規模が大半を占める
- 財務基盤が安定している
いずれも上場企業ですので、今後の業績を追ってみると面白いかもしれません。
まとめ
企業が5G推進を急ぐ理由は、5Gが必要不可欠な時代に備え、経営資源の争奪戦に勝利したいからです。そして、今後は資源の争奪戦から、サービスやアイデアの争奪戦にシフトしていきます。
そして、政府が5G推進を急ぐ理由は、今後予想される労働人口減や景気後退の波に備え、自動化や省人化のインフラを拡充し、産業発展の原動力にしたいからでしょう。
5Gをはじめとする「第4次産業革命」の経済効果は132兆円と言われていますが、今後はビジネスやシステムに大きな変革が求められます。
外食離れが進む一方、Uber Eatsの利用が増える理由
Uber Eatsというサービスをご存知でしょうか。注文者と飲食店、配達員のマッチングを行う、オンラインデリバリーサービスです。2014年にアメリカでサービスを開始し、2016年に日本上陸しました。
今後外食離れが進む一方で、Uber Eatsの売上は伸びるでしょう。
今回はその理由とUber Eatsの事業戦略に迫ります。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。
目次はこちらになります。
今後外食離れが進む理由
昨今、外食の売上は伸びています。その理由は、訪日外国人と法人交際費の増加です。
ではなぜ今後、逆に外食離れが進んでいくのでしょうか。理由は2つあります。
消費税増税
1つ目の理由は、2019年10月から施行される消費税の増税(8%→10%)です。
2014年に施行された増税(5%→8%)を見ると、増税前の駆け込み需要と増税後の消費冷え込みが顕著に表れました。
こちらの図は、増税により体感物価の上昇から節約志向が強まることを表しています。
出典:
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp180907.pdf
そして2019年の増税は飲食店にとって更に厳しいものになるでしょう。
今回の増税は贅沢品が狙い撃ちだからです。当然その中には外食も含まれます。一方で、飲食料品や宅配、テイクアウトは軽減税率の対象となり消費税は据え置きです。この税金差が外食離れの強まりに変わります。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf
2021年問題
「東京五輪が終わると景気が低迷する」こう予想する識者は多数います。
2021年問題と言われていますが、過去に遡ると、IMFの調査では、1988年のソウル大会から2008年の北京大会の6大会のうち、5つの開催国で五輪開催後に経済成長が鈍化したというデータがあります。
もし景気が落ち込むと何が予想されますか?
まず経費削減の機運が強まり、外食産業を支えていた法人交際費の予算減が考えられます。
そして、もう一つの懸念点は為替の変動です。
近年、平時には円売りで円安に振れ、景気後退や金融危機など投資家がリスク回避に殺到する有事の局面では円買戻しで円高に振れるというパターンが定着しています。
以前も、2007年夏に米国でサブプライム危機、そして2008年にリーマンショックによる金融危機と景気後退が起こり、世界中の株価が下落しました。株価の急落で大きな損失を抱えた投資家は、リスク許容度を急速に低下させ、円買戻しに殺到したため、急激な円高・ドル安が進みました。
以上の例を見ても、円高・株安、円安・株高は、非常に高い相関関係があることが分かります。
為替の考察にあたって、こちらの記事を参考にさせて頂きました。
出典:米国「景気後退」が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)
景気後退の結果、為替は円高に触れると、外国人は日本に…来たがりませんよね。
つまり2021年問題は、内需外需の両方を減らし、外食産業の勢いを弱める恐れがあります。
Uber Eatsの利用が増える理由
では外食離れが進む一方で、なぜUber Eatsの利用は増えるのでしょうか。利用者とお店、配達パートナーの立場から、その理由に迫ります。
軽減税率の導入
前述したように、軽減税率の対象にデリバリーサービスが含まれています。つまり、外食よりもデリバリーを頼む方が得なので、Uber Eatsの利用者は更に増えるでしょう。
「所有から利用」への変化
飲食店にとって、デリバリー事業の収益化は大きな課題でした。配達員や車両、システムを含めたインフラの所有には高い維持費がかかります。
しかし、Uber Eatsの登場により、デリバリーのインフラは「所有から利用」に変わりました。お店側はUber Eatsに加盟しても初期費用や維持費はかかりません。配達回数に応じて手数料を払うだけです。
このように「所有から利用」へのシフトは、車のような「モノ」だけでなく、デリバリーのような「コト」にも広がりつつあります。
近年デリバリー業を開始するお店は増え、市場規模も拡大しています。
好きな時に好きなだけ働ける
料理を運ぶ配達パートナーも好きな時に好きなだけ配達できます。アプリ上でお店と届け先の住所を確認し、気が向いたら配達の仕事を引き受けます。Uber Eats側で自動決済するため、配達パートナー側は代金回収の必要がありません。
なぜこのような働き方でデリバリー業が成立するのでしょうか。
空き時間に働ける仕事は、誰にとっても魅力的だからです。人間関係やノルマなど余計なストレスを抱えずに働けることもメリットです。
加えて、配達した報酬額が直ぐアプリに表示されることもやる気を高めます。もし配達パートナーが見つからない場合は、注文者側にキャンセル通知が届くだけで誰にも迷惑がかかりません。
まとめ
今後増税が施行され景気の後退も予想されますが、飲食店はUber Eatsに加盟すれば、税優遇を受けることができ、初期費用も維持費もいらないデリバリーサービスを利用することができます。
しかし、Uber Eatsの手数料はお店にとって決して安くありません。今後も価格設定やメニューの差別化など、飲食店の販売戦略はますます求められるでしょう。
ヤクルトが国内で苦戦し、海外で好調を維持する理由
こんにちは、Taikiです。
先日中国・広東省にヤクルトの新工場が完成し、生産増強に乗り出すニュースが流れました。
調べてみると、 ヤクルトの国内業績は横ばいですが、海外では好調です。今回はヤクルトが海外で成功した理由とその戦略に迫ります。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきください。
目次はこちらになります。
国内で苦戦する理由
ヤクルトが苦戦する大きな理由は原材料高です。これはヤクルトだけでなく、食品業界で共通した悩みになっています。
なぜ原材料が高くなったと思いますか。
これは原油価格の高騰が関係しています。食品業界では、商品に使う包装や容器の生成に石油を使用しています。もちろんヤクルトの容器にも石油が使用されています。
ではなぜ原油は高騰しているのでしょうか。
これはトランプ政権のイラン産、ベネズエラ産原油の禁輸制裁が大きな原因です。米政権の強硬姿勢が強いため、価格高騰への懸念は根強く、原油は高騰を維持してます。これが食品業界の原材料を押し上げています。原油高騰の波は、食品業界だけでなくレストランやカフェなどのサービス業にも影響しています。
ヤクルトが苦戦する理由は他にもあります。それは他社との過当競争にあるのではないでしょうか。健康ブームが続く中、乳酸菌が注目を受け他社からも関係商品は多数販売されています。他社よりも良い商品を出すため、日夜研究や開発にかかる費用も無視できません。
海外で好調を維持する理由
ヤクルトは1960年頃から、海外に進出してまだ未踏の乳酸菌市場を開拓しました。台湾、ブラジル、新興国、中国、欧米などです。
進出するのは簡単ですが、成功するのは別の話です。どうやって海外に進出し成功を収めてたのでしょうか。
教育分野の開拓
1つ目に、教育分野の開拓があると思います。
乳酸菌が認知されていない海外で、いきないヤクルトを販売すると消費者はどういう反応をするでしょうか。おそらくコカ・コーラなど既存の清涼飲料水と同じカテゴリでみられます。当然コカ・コーラと同じ市場で勝つことは容易ではありません。ヤクルトは清涼飲料水市場と区別して乳酸菌商品を認知してもらう方法を取りました。
これはヨーロッパの例ですが、まず現地の研究機関と協力し乳酸菌が健康に良い事を立証しました。そして、乳酸菌の学会を創設し、乳酸菌の良さを啓蒙し、ヤクルトの知名度を上げました。
言い方は良くありませんが、ヤクルトは教育分野を青田買いして乳酸菌市場を形成し、ヤクルトブランドを刷り込み、将来にわたって利益を獲得することに成功しました。
似たようなマーケット戦略は異業界でも見ることができます。マイクロソフトのアカデミックパッケージです。学校法人や学生にマイクロソフト製品を学割販売し、若い世代にその良さを植え付け、将来彼らが大人になってからもリピータになってもらい利益を回収します。この長期的なマーケット戦略は、商品の宣伝効果だけでなくCSRの役割もあります。
ヤクルトレディの活躍
2つ目に、ヤクルトレディの存在です。
新興国を見ると、モールや大型スーパーなど巨大なお店は殆どありません。駄菓子屋のような小さなお店が路地裏などに散らばっているイメージです。無数に分岐した販路を一個ずつ確保することは相当労力のいる作業です。
もしヤクルトレディがいたらその状況をどう打開できるでしょうか。彼らは現地のメンバーで構成されています。土地勘や人脈、そしてフットワークの軽さで毛細血管のように張り巡らされた細い販路を次々と開拓します。つまり先進国のように大規模に広告や宣伝を打ち、大型スーパーへの営業を行うトップダウン式ではなく、地元の小さなお店から営業をかけて下流から上流を攻めるボトムアップ式の販売手法で成功を収めました。
同じような例はお菓子のブルボンの戦略にも見ることができます。ブルボンは地方店舗から販売を展開し、最終的には都市部に販路を拡大しました。これは地方の住民が次第に都市部に流れていく人口動態をうまく利用したボトムアップ式の戦略です。地方の子どもがブルボンのお菓子に慣れ親しみ、年月を経て進学や就職で都市部に移転した後も、昔懐かしのブルボンを買い続けます。結果ブルボンは都市部でも順調に売上を伸ばすことができます。
四季報でみるヤクルトの業績
直近の四季報でヤクルトの業績を見てみましょう。
今季の売上高 は、約418,000百万円(前年比+2.6%)が予想されます。企業規模は食品加工業界ではトップクラスです。直近5年の売上は5%近く堅調に推移していますので、間違いなく成長企業でしょう。収益性もかなり高めです。
事業別の売上はこちらです。注目するポイントは、海外売上は国内よりやや低いですが、営業利益は海外が圧倒的に上です。海外事業でヤクルトは高い収益性を維持できていることが見て取れます。
・飲料・食品: 47(8)
・海外の飲料・食品: 42(25)
・医薬品 6(5)
・他 5(5)
まとめ
原料高は悩みの種ですが、ヤクルトは早い時期から海外進出し成功を収めました。その成功のポイントは、教育分野の開拓から乳酸菌市場を形成したこと、ヤクルトレディの営業によりボトムアップ式に販路を拡大したことが挙げられます。そしてその成功を支えた背景には、「世界の全ての人たちの健康を守る」という、確たるヤクルトの企業理念があるのではないでしょうか。
ミスタードーナツが中国撤退し、ユニクロがなお中国で成功している理由
こんにちは、Taikiです。
先日ミスタードーナツ(以下ミスド)が中国から撤退するニュースが流れました。
一方でユニクロは中国でも順調に売上を伸ばしています。
今回は中国の内部環境の変化とユニクロの販売戦略にクローズアップしたいと思います。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきの上、お読みください。
目次はこちらです。
ミスドが撤退した理由
ミスドの撤退理由として、人件費高騰と競合他社との過当競争があげられます。
なぜ人件費が高騰したのでしょうか?
1970年代から中国では一人っ子政策が取られました。その結果、中国も少子高齢化の時代に突入し、高学歴化が顕著になりました。一人当たりの教育費が向上し、中国人の労働単価は高くなりました。これが人件費高騰の背景にあります。
また飲食業は比較的参入障壁が低いため、競合他社の新規参入により過当競争に陥りました。
収益を上げるためには、売上を上げるか、人件費を下げるかになりますが、ミスドは過当競争で売上が思うように上がらず、人件費高騰も止まらなかったため、撤退を余儀なくされたと推察されます。
ユニクロが成功を続ける理由
ユニクロの垂直統合型SCM
ユニクロは企画・計画・生産・物流・販売までのプロセスを一貫して行うビジネス モデルで、他社には真似のできない独自商品を次々と開発しています。
このようなビジネスモデルを垂直統合といいますが、このメリットはサプライチェーン全体でみたときに中間コストが大幅に削減できる点です。そのため利益確保や製品の安定供給が可能になります。デメリットは、すべての設備や人材を自社でまかなおうとするため、どうしても初期投資や固定費が大きくなってしまうことですが、それはファーストリテイリングの資本力がなせる技です。
生産拠点のシフト
ユニクロは、コスト抑制のために生産拠点を東南アジアにシフトしています。東南アジアは、中国の半分以下に人件費を抑えることができるため、中国一国に依存しない生産体制を整え、価格競争力を維持することができます。
ローカライゼーション戦略
中国では、日本以上にオンラインショッピングの利用率が高いです。
なぜでしょうか。
まず実店舗を最小限に留め販売できるという利点があります。次によく分からないお店で偽物や粗悪品を買わされないですみます。次によく分からないお店で買うよりアフターケアが充実しています。つまり中国では、実店舗があまり信用できない傾向にあります。また少子高齢化時代に突入し、高齢者にとってもオンラインショッピングは助かります。
こういった背景から、中国の大手企業はオンラインショッピングのサービスを提供しています。
ユニクロもデジタルマーケティングに早くから着手し、オンラインショッピングも充実しています。現地CEOは中国人を採用しています。中国の環境に順応し、現地企業のように経営するローカライゼーション戦略も成功理由の1つです。
業績について
四季報から簡単に直近の業績を紹介します。ミスドは国内でも苦戦していましたが、店舗整理で業績が好転しています。
ファーストリテイリングは、2018年8月期決算時点で連続最高益です。海外の売上高比率 47%、国内外ともに高い収益性を維持しています。
まとめ
人件費高騰により中国はもはや世界の工場としては機能していません。しかし中国は未だ消費大国です。パイオニアの買収で見るように、今後も中国企業の資本や人材は日本国内に入ってくるでしょう。
そして、中国の高学歴化は、その流れを一層後押しすることになるでしょう。
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パイオニアが経営破綻し、香港系ファンドが買収に乗り出した理由
こんにちは、Taikiです。
本日はパイオニアが経営破綻した理由に迫り、なぜ業績不振の同社を、香港系ファンドは購入しようと思ったかを考えます。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきの上、お読みください。
パイオニアの全盛期
1930年代から、パイオニアは、スピーカーなどオーディオ機器の販売し、有名なところでは、カーステレオ、レーザーディスク、CD-ROM等の光学ディスクドライブを手がけました。
1970年代、米国のワーナーブラザーズや渡辺プロダクションと共同出資し、ワーナーブラザーズパイオニア合弁会社を設立しました。
一社提供のテレビ番組も複数あり、メディア露出も盛んでした。
メディアや音楽などの花形事業、オーディオやカーエレクトロニクスなどの電機機器事業、パイオニアは才色兼備の企業として、華やかに活躍していました。
1990年代、カーナビゲーションシステムを発売し、プラズマディスプレイシステムにも着手しました。
パイオニアの衰退期
2000年代、薄型テレビの時代に突入し、パイオニアはプラズマテレビの開発生産に踏み決まりした。自社に工場設備を構え、量産体制を整えましたが、他社が製造する液晶テレビとの価格競争に負け、プラズマテレビ事業を撤退しました。
次いで、オーディオ事業も手放し、社運をかけた、カーナビゲーションシステムのOEM生産でも減価償却費が膨らみ、銀行からの融資も止められ、資金不足に陥り、経営破綻になりました。
経営破綻の原因
1つ目は、事業が不採算に陥った理由を考えましょう。パイオニアは、プラズマテレビ、オーディオ、カーナビゲーションシステムの販売が不振に終わりました。
この3つに共通する販売不振の原因は何でしょうか。
それは、代替品へのスイッチングコストが低下したことです。
プラズマテレビは対抗馬のより安い液晶テレビに簡単に乗り換えることができます。オーディオ製品やカーナビもiPhoneなどスマートフォンがあれば、特に乗り換えの負担はありません。
スイッチングコストが高い例としては、WindowsユーザーがPCをMacに変えることでしょうか。その場合のコストはこちらです。
MNPが採用される前は、携帯電話の乗り換えもスイッチングコストが高いとされていました。携帯番号を変更しないといけないからです。SNSが流行した今でも携帯番号とSNSのアカウントは紐づいているため、MNPの恩恵は大きいと思います。
2つ目は、不採算に陥り、更に経営を悪化させた理由を考えましょう。
プラズマテレビ、オーディオ、カーナビゲーションシステムの事業に共通する経営の悪化を早めた理由は何でしょうか。
それは、大規模な生産設備を保有し、不採算事業から早期撤退ができなかったからです。生産設備という固定資産に投資したパイオニアは、その投資分を回収できない限り、事業撤退は困難になります。回収できないまま事業をたためば、その損失分は決算書に反映され、株価にも影響します。
固定資産の投資額を回収できない場合、減損会計の考え方はこちらになります。
ビジネスの基本は、スクラップ&ビルドです。いかに早く、不採算事業から撤退し、成長事業に経営資源を集中させるかが、鍵になります。
現在インフラ構築のトレンドにある、クラウドサービスも、意思決定のスピードを支えています。例えばAWSは、初期費用が不要な上、従量課金。Iaasのためオンデマンドで構築したり削除することが可能です。エンタメやECのような回転の早いビジネスには、うってつけのインフラ環境となっています。
香港系ファンドが買収した理由
では、なぜ死に体となったパイオニアを、香港系ファンドは買収したのでしょうか。
その理由は、大きく育てて転売すること、もし大きく育たなければ、同社が損しない程度の安値で転売することです。
日産が経営破綻に陥ったとき、ルノーは日産を傘下におき、資金注入やノウハウを教え、日産を立て直しました。その目的は、日産を通じ日本市場とアジア市場への進出が狙いでした。
しかし、香港系ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジア株式会社は、経営の立て直しという点では、目標は同じですが、目的が違います。
同社はあくまでも投資ファンドグループです。複数の投資家から集めた資金を基に事業会社株を取得し、同時にその企業の経営に深く関与して、企業価値を高めた後に売却することで収益を得ることを生業としています。
パイオニアに光る技術
香港系ファンドが買収に動いた動機は、パイオニアの中に光る原石を見つけたからでしょう。個人的には、クラウド型車両管理・動態管理システム、および自動運転技術を支えるLiDARかと推測しています。
これはパイオニアが中長期的な視野にたって、起死回生の策を何度も講じ、選択と集中を繰り返して、辿り着いた事業の柱です。これらのマーケットは今後も拡大していくことが予想されます。
こちらは、クラウド型車両管理・動態管理システムのマーケット予測になります。
自動運転の目となる光技術を活用したLiDARの市場予測になります。
出典:パイオニア、自動運転の目「LiDAR」で巻き返しへ 再建に向け各社と提携協議 | 自動運転ラボ
まとめ
パイオニアは、10年以上冬の時代が続きながら、選択と集中を繰り返し、地道に自社の強みを生かし、市場開拓や製品開発を行い、市場規模拡大が予想される、最先端技術の分野にまで着手しました。
株主は変われど、パイオニアのブランドは変わりません。その名の通り、今後は新規分野での「パイオニア」として、躍進を期待したいと思います。
日本が液晶・プラズマテレビで負け、プレミアム有機ELテレビで勝利した理由
出典:ソニー 4K有機ELテレビ ブラビア『KJ-65A1』(65型) 他 ハイレゾ対応の『X9500E』など4Kブラビア全12機種発売 – ソニーってどう?
こんにちは、Taikiです。
テレビ市場のマーケットリーダーは頻繁に入れ替わっています。
なぜ技術で勝る日本メーカーは、液晶・プラズマテレビで、韓国メーカーに敗北したのでしょうか。そして、どうやってSonyはプレミアム有機ELテレビ市場で返り咲くことができたのでしょうか。
戦略理論を軸にその理由に迫りたいと思います。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきの上、お読みください。
目次はこちらです。
日本が液晶・プラズマテレビで敗北した理由
1980年代、まだブラウン管テレビの時代、日本メーカーは持ち前の技術力で高機能、高性能のテレビを開発し、世界のテレビ市場を席巻していました。テレビ黎明期のこの時代、日本メーカーの技術は、高付加価値戦略に大きな成果をあげ、北米でもNo1のシェアを獲得していました。
米国カラーテレビ市場:1988年の生産企業の国別シェア(%)
しかし、薄型テレビの時代に入り、事態が急変。日本の高付加価値戦略は機能しなくなり、中韓メーカーと価格競争し、売上は低迷しました。
なぜ高付加価値戦略は、通用しなくなったのでしょうか。
日本メーカーの高付加価値が、消費者にとって、高いお金を払うほど価値的ではなくなったからです。ほとんど使わない細かい機能を実装するより、安くてシンプルなテレビがほしい、そんなニーズに応えたのが韓国メーカーでした。
どうやって韓国メーカーは薄型テレビの価格を抑えることができたのでしょうか。
韓国メーカーのコスト優位の決め手となったのは、低機能と技術力です。マイケル・ポーターが提唱するコストリーダーシップ戦略によると、技術が優れていると価格を抑えることができます。
では韓国メーカーはどうやって技術力を手に入れたのでしょうか。
以前日本メーカーの経営再建でリストラされた技術者達が大勢いました。
その技術者達は、韓国に雇用され、国外への技術流出が始まりました。その結果、日本の技術力が韓国のコスト優位を支え、日本メーカーを苦しめる結果となりました。
自社で開発や生産を全て行うリスク
日本メーカーの敗因は、コストの優位性だけではありません。ブラウン管テレビ時代から続く、垂直統合型のビジネスモデルも関係していました。垂直統合型は、液晶テレビの開発から生産、販売と、川上から川下まで一社が統合して行うビジネス形態です。自社で全てを開発・生産すると過剰な設備投資を行う必要があるため、自社だけで消費することが難しくなります。そのため、部品によっては、外部に生産供給したり、逆に受託生産するような柔軟さが求められます。職人文化の根強い日本にとって、外部に生産委託したり、受託することは当初難しかったのかもしれません。
Sonyがプレミアム有機ELテレビで巻き返した勝因
2018年、プレミアム有機テレビの分野で、Sonyは世界の頂点に立ちました。シェアは断トツの44%でした。
https://japanese.joins.com/article/846/238846.html
どうやってSonyはこの市場で競り勝つことができたのでしょうか。
Sonyは韓国のLGエレクトロニクス社製の有機ELパネルを採用しています。他社を巻き込んだサプライチェンを形成する水平分離型のビジネスを採用し、技術向上やコスト削減ができました。かくして、有機ELパネルのマーケットリーダーであるLG社のパネルを採用することで、テレビ市場において日本メーカーが巻き返しに成功することできました。
オープンイノベーションの波
Sonyのプレミアム有機ELテレビの売上拡大は、当然そのパネルをOEM供給するLG製の利益にもつながります。LG社にとって、日本テレビ市場でシェアを拡大することが難しいため、Sonyの製品を通じ、日本のマーケットから利益を得ることができます。
同じようなOEM生産の事例として、iPhone があげられます。最近iPhone XS、iPhone XSマックスの分解調査の結果、東芝製の部品が採用されていることが分かりました。垂直統合型のビジネスで知られるAppleも、iPhone最新モデルの重要基盤に東芝製のパーツを採用していました。
先日トヨタ自動車がスズキと業務提携するニュースが取り上げられていました。トヨタ自動車は自社のハイブリッド技術を世界に広めたい、スズキは自動運転など次世代技術のノウハウを吸収したい、という思惑があります。
今まさに自社完結のクローズドイノベーションから、他社と協業し競争力のあるサービスや製品を創造するオープンイノベーションの時代に移り変わっています。
オフコンが廃れ、ガラケーの生産終了をみると、オープン化への大きな流れに逆らうことができません。
まとめ
RIZAPが赤字転落し、ワークマンが大幅に増収増益できた理由
こんにちは、Taikiです。
RIZAPとワークマン、業界が異なるこの2社は事業拡大のため、それぞれある戦略を取りましたが、業績の明暗は分かれました。
今回はこの2社の経営戦略の違いにフォーカスし、なぜRIZAPの業績が悪化し、ワークマンの業績が大幅に良かったのか、その違いを考察していきましょう。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきの上、お読みください。
目次はこちらです。
1.RIZAPが赤字転落した理由
RIZAPが赤字転落した背景には、急ピッチの経営不振企業の買収にあります。確かに業績が振るわない企業を次々と買収しましたが、当初RIZAPからすると、勝算あっての戦術だったはずです。何がいけなかったのでしょうか。
こちらの表は、「アマゾフのマトリックス」と呼ばれる成長戦略のフレームワークです。
出典:アンゾフの成長マトリックスとは何か? 「経営戦略の父」が考案した成長戦略の基本 事例や図解でフレームワーク解説|ビジネス+IT
既存ビジネスは「市場浸透」の状態ですが、事業拡大の基本戦略は、アンゾフのマトリックスから見ると、2つの方法があります。
- 市場開拓:既存の製品 X 新規の市場
- 製品開発:既存の市場 X 新規の製品
市場開拓は製品やサービスは変えずに市場を変える戦術です。一方、製品開発は市場を変えずに製品やサービスを変えることです。
今回のRIZAPはどちらのケースでしょうか。RIZAPの戦術はこのどちらでもなく、「多角化」という、高い難易度の戦術を選びました。
- 多角化:新規の市場 X 新規の製品
RIZAPは「ライザップ」として減量ジムやゴルフレッスンを本業としていましたが、買収した企業は、書籍販売店や化粧販売、住宅会社など畑違いの分野です。つまり、ノウハウが圧倒的に足りない、ハイリスクな多角化戦術で勝負をかけたのです。
加えて、一気に複数の企業を買収したことも大きな痛手になったのではないでしょうか。
2.ワークマンの戦略
次にワークマンの戦略を見ていきましょう。
上のアンゾフのマトリックスからすると、ワークマンが取った戦略はどれにあたるでしょうか。
ワークマンは作業服チェーン大手で、作業服で培った機能性を生かしたカジュアル衣料を軸に「ワークマンプラス」の店舗を展開しています。18年9月には、その1号店をららぽーと立川立飛にオープンしました。
既存のプライベートブランドで、アウトドアやスポーツ用品などをターゲットにした戦術は、「市場開拓」にあたるのではないでしょうか。
- 市場開拓:既存の製品 X 新規の市場
また18年3月期の報告書でもあるように、店舗展開において、ドミナント戦略の推進とスクラップ&ビルドで既存店の活性化を図っています。
これは過去の記事で書いたように、セブンイレブンと同じ戦略になります。
3.ワークマンプラスの強み
ワークマンの強みは、「低価格」と「高機能」にあります。低価格は、作業服専門店のワークマンとして、培ってきたノウハウが成せる技です。高機能についても、広く周知されています。
それではワークマンプラスの強みはなんでしょうか。それは、ミズノやアシックスなど本格的なスポーツマン向けではなく、これから運動を始めたいライトユーザー向けに「低価格」と「高機能」のアウトドアやスポーツ用品を提供しているところです。
その結果、アウトドアやスポーツ用品のレッドオーシャン市場の中にブルーオーシャンを見出し、ニッチ戦略として適切に経営資源を投入することができました。これが成功の鍵だと思います。
4.業績予想について
今季のRIZAPの赤字転落は、残念ながら避けることができないでしょう。
四季報情報に基づいて、18年度の同社の業績予想を見ていきます。
- 売上高:230,900百万円
- 営業利益:-3,300百万円
- 経常利益:-4,900百万円
- 当期利益:-7,000百万円
売上高は前年比約70%増ですが、利益は赤です。この増収減益は、M&A(合併・買収)で売上が伸びた一方、組織改編を含む経営改革への先行投資などが影響したものです。
一方、ワークマンの業績予想はいかがでしょうか。
- 売上高:63,950百万円
- 営業利益:13,060百万円
- 経常利益:14,290百万円
- 当期利益:9,510百万円
今季の増収増益は間違いありません。また自社の強みを生かした手堅い経営戦略もそうですが、高い営業利益率や自己資本比率は、安定した経営基盤や財政基盤を表しています。投資家の目にも魅力的な投資先として映っているでしょう。
5.まとめ
まとめると、こちらの3点に要約できるのではないでしょうか。
- 自社の強みである分野で新規事業を興す
- 多角化戦略で分かるよう、二兎を追う企業は損を被るリスクが高い
- 強者のいない市場を狙う
個人的には、これまでダイエットやゴルフレッスンなど市場を活性化し、消費者を元気にしてきたRIZAPには、まだまだ頑張っていただきたいと思います。今後の活躍に期待します。
イトーヨーカドーが低迷し、セブンイレブンが成長を続ける理由
こんばんは、Taikiです。
イトーヨーカドーが経営に苦しみ、セブンイレブンが成長を続ける状況は周知の事実ですが、なぜ同じセブン&アイ・ホールディングス傘下の両者にこうも差がついたのでしょうか。
今回は両者の経営の違いにフォーカスし、その背景にどういうビジネスモデルがあり、どう勝敗を分けたかを考えていきます。
あくまで個人の見解ですので、ご承知おきの上、お読みください。
目次はこちらです。
1. イトーヨーカドーが苦戦する理由
イトーヨーカドーと聞いて思い浮かべる商品は何でしょう?衣類や食品、生活用品など色々とあると思います。
では何が主力商品でしょうか?わざわざイトーヨーカドーで購入したいと思う商品はありますか?
例えば、GUやユニクロなら何を思い浮かべますか?衣類ですよね。ネット通販ならZOZOTOWNでしょう。
食品はどこで購入にしますか?安ければSEIYU、マックスバリュー、少し高めならサミット、高級スーパーなら成城石井を思い浮かべますね。
生活用品はどうでしょう。先ほどのスーパーもそうですが、100円ショップのダイソーや最近はドラッグストアの品揃えもいいですよね。
つまり、イトーヨーカドーの競争優位性が見えてこないのです。ここでいう競争優位性とは、他社がまねしにくい商品やサービスということですが、どの分野においても、他社に参入を許しています。
私が知らないだけで、もしかしたら、競争優位性はあるのかもしれません。しかし、こちらにある記事を見る限り、その売上は決して良くないでしょう。
2. セブンイレブンの成長戦略
では、セブンイレブンの成長戦略は何でしょうか。そして競争優位をしっかりと確保できているのでしょうか。
セブンイレブンをはじめとするコンビニ業界の成長戦略は、ドミナント戦略です。
ドミナント戦略とは、市場を占有したいエリアを絞り、特定のエリアに複数店舗を高密度に展開することです。それによって、以下のメリット享受できます。
- 地域での認知度が高まる
- 配送効率が上がる
- 地域に合わせた広告宣伝ができる
- スーパーバイザーが巡回しやすい
特定のエリアに店舗を集中することで、これだけの効果が生まれます。
逆にデメリットはこちらになります。
- 災害時のダメージが大きくなる
- 店舗同士で顧客を奪い合う(カニバリ)
- 地域の事情が変わると売上に影響する
地域の事情とは、例えば、バイパスができるなどして道路事情が変わり、店舗に面した道路の交通量が減ることです。
3. セブンイレブンの競争優位性
ドミナント戦略のデメリットを補完するため、セブンイレブンは、不採算店舗を容赦なく撤退させています。例えば、店同士でカニバルしたり道路事情が変わったりして、不採算に陥った店舗は撤退させます。そして、エリアマーケティングを駆使し新規出店を行います。
このスクラップ&ビルドを上手く行うことがセブンイレブンをはじめとする、コンビニ業界の競争優位性となっています。
過去の決算報告で、セブンイレブンの国内コンビニ店舗は700店純増とありました。これは仮説ですが、その内訳は、例えば200店舗が撤退、900店舗が新店舗かもしれません。
4. セブン&アイ・ホールディングスの業績
こちらの記事を見てお分かりの通り、コンビニ店舗数は全体で5万店舗を越えています。セブンイレブンは、約2万店舗を展開し、これまで赤字経営を経験したことがありません。
2018年度の四季報情報に基づいて、セブン&アイ・ホールディングスの連結事業を見ていきましょう。
- 国内コンビニ15(26)
- 海外コンビニ33(4)
- スーパー31(1)
- 百貨店11(1)
- 金融3(24)
売上や営業利益において、いかにコンビニ事業が同社を支えているかがお分かりかと思います。
5.まとめ
イトーヨーカドーが低迷し、セブンイレブンが成長を続ける理由は、競争優位性の有無にあるのではないでしょうか。
経営資源は有限ですので、どこに経営資源を集中させれば良いかを判断しないといけません。戦略に決め手がないと、無駄に経営資源が分散してしまい、経営体力が失われる恐れがあります。
イトーヨーカドーのことを色々と酷評しましたが、ネットスーパーでは、通常送料が300円のところを、母子手帳をお持ちの方は、送料が4年間100円になるという良いサービスもあります。私も利用しました。母子手帳をお持ちの方は、是非検討してみてください!
みなさま、はじめまして。
こんにちは、Taikiといいます。
営業やったりSEやったりとフラフラしています。趣味はマラソンです。今年の東京マラソンも相変わらず落選しました。
さて、今回最初の記事になりますが、私がブログをはじめた理由は、何かをアウトプットしたいという欲求があるからです。
自分で言うのもあれですが、知的好奇心や向上心は強い方で、特に経営者や知識人が発信する情報はとても刺激的でいろんな媒体でキャッチしています。また個人的にもメンターがいて、その方から経営学や会計学を学んでいます。
当たり前ですが、人間はインプットと同時にアウトプットも出していかないと知識は風化してしまいます。もちろん大した実績や能力のある人間ではないので、講演やセミナーなどで世間様にお話しできる立場ではございません。
勝手気ままに、個人の見解を書き残せるのは、こういったブログなどが最適かなと思い、始めることにしました。ただ読んでくださる方の時間の無駄にならないよう、良質な情報を届ける努力をしてまいります。